シリコンモールド自作で失敗しない立体両面型のダボ作りと空気抜き穴の設計ノウハウ
こんにちは、クラフターズのやっしーです!(・∀・)
立体的な作品をハンドメイドで作るとき、市販のシリコンモールドでは思い通りの形が見つからないことがあります。自分でオリジナルのシリコンモールドを作ることができれば、立体的なフィギュアや複雑なアクセサリーパーツ、レジン作品などを自由自在に形にできます。
しかし、裏表のない立体作品を作るための「両面型(2つのパーツを組み合わせて使うシリコン型)」の自作は、平らな面がある片面型に比べて一気に難易度が上がります。特に初心者の多くが壁にぶつかるのが、「型を合わせたときのズレ」と「注型時の気泡や角の欠け」です。
この2大失敗を劇的に防ぎ、市販品のような高精度なシリコン型を作る鍵となるのが、「ダボ(合わせ目ガイド)」と「空気抜き穴(ベント)」の設計です。
今回は、両面モールドの自作において絶対に知っておきたいダボの作り方と空気抜き穴の設計ノウハウを、専門的な知識まで踏み込んで分かりやすく解説します。初心者が陥りやすい罠や、私ならどう組み立てるかという実践的な思考プロセスまで余すことなくお伝えします。
- 両面型シリコンモールドの基本構造と失敗しやすい原因
- 絶対にズレない合わせ目ガイド!ダボ設計のノウハウ
- 初心者が陥りやすいダボ作りの3大失敗
- 私ならこうする!ズレを防ぐダボの具体的な作り方
- ダボを配置する際の配置ルール
- 気泡ゼロを実現する!空気抜き穴(ベント)の設計ノウハウ
- 空気の逃げ道「デッドスペース」の見極め方
- 空気抜き穴の太さと形状の黄金比
- 空気抜き穴を粘土埋め段階で仕込む手順
- 両面型シリコンモールド制作の実践5ステップ
- STEP 1:油粘土への原型の埋め込み
- STEP 2:ダボと注入口・空気抜き穴のセット
- STEP 3:1型目(前半)のシリコン流し込みと硬化
- STEP 4:反転・粘土除去・離型剤の塗布
- STEP 5:2型目(後半)の流し込みと脱型
- レジン注型時のコツと失敗したときの修復方法
- 型を固定する際の注意点
- 注入と空気抜きの確認
- もし気泡が入って失敗してしまったら
- まとめ
両面型シリコンモールドの基本構造と失敗しやすい原因
両面型シリコンモールドとは、原型を前後に挟み込むように2つのシリコンパーツに分けて制作する型のことです。球体やドール用小物、立体フィギュアなど、裏側に平らな面が存在しない立体物を成形する際に欠かせない技法です。
片面型であれば、原型の底面を粘土や容器に貼り付けてシリコンを流し込むだけなので非常に簡単です。しかし、両面型では「原型の上半分と下半分をどこで分けるか(パーティングライン)」を決める必要があり、さらに「2つのシリコン型を隙間なく、完璧に同じ位置で合体させる構造」を作らなければなりません。
もし、ダボ(合わせ目ガイド)が無い、あるいは不完全な状態で両面型を作ってしまうと、レジンや石膏などの材料を流し込んだ際に上下の型が数ミリ単位でズレてしまいます。その結果、完成した作品に目立つ段差が生じ、削っても修復できない失敗作になってしまいます。
また、空気抜き穴がない密閉型のモールドにレジンを注入すると、型の奥に閉じ込められた空気が逃げ場を失います。どれだけ粘度が低いレジン液を使っても、先端部分や複雑な凸凹部分に空気が丸く残ってしまい、角が欠けたような成形不良(ショートショット)が確実に発生します。
ダボは「上下の型の位置を正確に固定するための鍵」であり、空気抜き穴は「液体が入っていくと同時に内部の空気をスムーズに追い出すための脱出口」です。この2つの設計ルールさえマスターできれば、両面型シリコンモールドの自作は成功したも同然です。
絶対にズレない合わせ目ガイド!ダボ設計のノウハウ
ダボ(合わせ目ガイド)とは、最初に作るシリコン型(1型目)と、後から作るシリコン型(2型目)の接合面に設ける凹凸構造のことです。1型目に作った「凹み」に、2型目のシリコンが流れ込んで「突起」が形成されることで、ふたつの型がパズルのようにカチッとはまり込む仕組みになっています。
ダボ作りで初心者がやりがちな失敗には、明確なパターンが存在します。まずは失敗する原因を知り、正しいアプローチを理解しましょう。
初心者が陥りやすいダボ作りの3大失敗
- ダボが浅すぎる・小さすぎる:油粘土の段階で、筆の先などで軽く突いたような小さな穴しか開けないケースです。シリコンは柔軟性がある素材なので、ダボが浅いと型を合体させたときにシリコン同士が滑ってしまい、固定する力が働きません。
- ダボの数が足りない・配置が偏っている:型の四隅のうち2カ所にしかダボを作らなかったり、原型の片側に寄っていたりすると、ダボが無い側が浮き上がったり斜めに歪んだりします。
- 逆テーパー(アンダーカット)になって型が破れる:凹みを作るときに、奥に行くほど穴が広がっているような形状にしてしまうと、シリコンが固まった後に引っかかって破れてしまいます。
私ならこうする!ズレを防ぐダボの具体的な作り方
私が両面型を作る際、ダボ作りで最も意識しているのは「明確な深さと角度」「型の全周を囲むバランスの良い配置」の2点です。具体的には、以下の3つの手法から原型や型のサイズに合わせて選択します。
初心者の方に一番おすすめなのが「BB弾や小ボールを使った埋め込みダボ」です。油粘土の表面に、市販のBB弾や直径6mmから10mm程度の金属ボール、またはプラスチックの半球パーツを半分だけ埋め込みます。
ボールを使う最大のメリットは、完璧な球面の凹みが作れる点です。球面の凹みは角がないため、シリコンを流したときに気泡が残りにくく、型を外す際も引っかかりません。さらに、外形が滑らかなため、型を合わせる時に吸い付くように噛み合います。
専用のパーツを用意するのが面倒な場合は、「押し込み凹みダボ」という手法を使います。丸筆の軸の先や、丸みを帯びた工具の先端を油粘土にぐっと押し込んで凹みを作ります。
このときのポイントは、深さを直径の半分程度(約3mmから5mm深さ)までしっかりと作ることです。穴の側面は垂直ではなく、少し外側に広がるすり鉢状(テーパー)になるように軸を少し回転させながら押し込みます。こうすることで、型を外すときにシリコンがちぎれるリスクをなくせます。
さらに、型の大きさに余裕がある場合は「外枠ガイドダボ」を併用します。原型の周囲だけでなく、シリコンを流し込む型枠の四隅ギリギリの場所に大きめのダボ(直径10mm以上)を配置します。四隅をがっちり固定することで、レジンを流した後のゴムバンド留めやアクリル板での挟み込みの圧に負けない強力な保持力が生まれます。
ダボを配置する際の配置ルール
ダボは、原型の周囲に最低でも「対角線上の4カ所」に配置してください。型が大きければ6カ所から8カ所に増やします。
原型の形状が複雑な場合は、細くなっている部分や歪みやすい角のすぐ近くに必ずダボを1つ追加します。原型の近くにダボを置くことで、レジン注入時の圧力による型の開きを直接防ぐことができます。
気泡ゼロを実現する!空気抜き穴(ベント)の設計ノウハウ
次に、両面型自作の最大の難所である「空気抜き穴(ベント)」の設計ノウハウについて掘り下げていきます。
両面型にレジンや液体石膏を流し込む際、液体は「注入口(レジンを入れる穴)」から入り、型の内部の空気を押し出しながら満たされていきます。このとき、押し出された空気が出ていく専用の管が空気抜き穴です。
初心者が陥りやすい勘違いとして、「型を少し浮かせればスキマから空気が抜ける」「注入口を大きくすれば空気も一緒に抜けていく」と考えてしまうことがあります。密閉されたシリコン型の中では、液体が入ってくると内部の空気圧が高まり、逃げ場のない空気は型の「一番高い場所」や「狭い凹みの奥」に固まって残ります。型を外したとき、その部分だけレジンが入っておらず、丸く欠けてしまいます。
空気の逃げ道「デッドスペース」の見極め方
空気抜き穴をどこに設置すべきか迷ったら、型を完成させた状態で「レジンを注ぐ姿勢(向き)」を頭の中でイメージしてください。
重力にしたがって底から液体が溜まっていくとき、空気はどこに追い詰められるでしょうか。答えは「型の構造上で最も高い位置(最頂部)」と「下向きに突起している部分(指の先、耳の先、細い角など)」です。
私が原型を見て空気抜き穴を設計するときは、以下の順番で位置を決めています。
- 注入口を最下部、または注ぎやすい大きな面に設定する(下から上へ充填するアプローチ、または上から注いで下まで充填するアプローチを決める)。
- 型を設置した状態で「垂直方向で一番高い場所」に太めの空気抜き穴を1本配置する。
- 手足の先や髪の毛の先、フリルの角など「上に向かって突き出ているすべての頂点」に細い空気抜き穴を配置する。
- 液体が途中で塞がって空気を閉じ込めそうな構造がないか確認し、あればそこから最短で型の外側へ抜けるルートを作る。
空気抜き穴の太さと形状の黄金比
空気抜き穴の太さは、小さすぎても大きすぎても失敗につながります。
太すぎる場合(直径5mm以上)は、空気は抜けますが穴の中までレジンが大量に入り込み、作品に太いシリコン状の枝(巨大なバリ)が残ります。この枝を切り落として研磨する作業が非常に大変になってしまいます。
反対に細すぎる場合(直径0.5mm以下)は、液体の表面張力やシリコンの密着によって空気が抜けきれず、穴としての機能を果たしません。
両面型における空気抜き穴の理想的な太さは以下の通りです。
- メインの最頂部空気抜き穴:直径2mm〜3mm(丸竹串やプラスチック棒の太さ)
- 細部の角・突起部空気抜き穴:直径1mm〜1.5mm(真鍮線やゼムクリップ、硬質ワイヤーの太さ)
空気抜き穴を粘土埋め段階で仕込む手順
シリコンを流す前の「油粘土埋め」の段階で、原型の空気抜きをしたいポイントに、竹串や真鍮線、あるいは細く伸ばした粘土の棒を直接接続しておきます。
接続する際は、原型に傷をつけないよう注意しながら、隙間なくピタッと接触させてください。原型と空気抜き用棒の接合部に隙間があると、シリコンが流れ込んで穴が塞がってしまいます。
両面型シリコンモールド制作の実践5ステップ
ここからは、ダボと空気抜き穴を組み込んだ両面型モールドの具体的な制作手順をステップ順に解説します。
なお、シリコンやレジンなどの化学素材を扱う際は、必ずメーカーの説明書や注意事項をよく読み、十分な換気を行いながら作業してください。皮膚に直接触れないよう、使い捨て手袋や保護メガネを着用して安全に行いましょう。
STEP 1:油粘土への原型の埋め込み
型枠の底に油粘土(シリコンの硬化を阻害しない硫黄分を含まない粘土)を敷き詰め、原型を半分の深さまで埋め込みます。
この時、原型の最も太い位置が粘土の表面に来るように設定します。ここが型の割れ目(パーティングライン)になります。粘土の表面はヘラを使って、段差なく滑らかに平らに整えてください。
STEP 2:ダボと注入口・空気抜き穴のセット
平らにした粘土の表面に、前述したBB弾などを埋め込んでダボの凹みを作ります。原型の周囲にバランスよく配置してください。
同時に、注入口(太さ5mmから8mm程度のプラ棒や粘土棒)を原型の適切な位置に立たせ、最頂部や突起部分に竹串や真鍮線(空気抜き穴)を隙間なく接続し、型枠の外まで伸ばします。
STEP 3:1型目(前半)のシリコン流し込みと硬化
シリコン液を調合し、気泡が入らないよう高い位置から細く糸のように垂らしながら流し込みます。
原型の細かい凹凸やダボの穴にシリコンを行き渡らせるため、細い筆や竹串で表面を優しくなでるように気泡を逃がすと確実です。そのまま規定時間放置して完全硬化させます。
STEP 4:反転・粘土除去・離型剤の塗布
1型目が硬化したら型枠ごとひっくり返し、底の油粘土をすべて綺麗に取り除きます。原型やシリコンの表面に残った粘土は、ブラシやテープを使って完璧に清掃してください。
そして、ここが両面型作りで最も重要なポイントです。1型目のシリコン表面(ダボの凹み含む)に、シリコン同士の接着を防ぐための離型剤(ワセリンやカリ石鹸、専用の離型スプレー)をムラなく丁寧に塗布します。
この作業を忘れると、2型目のシリコンを流した瞬間に1型目と一体化してしまい、二度と開かないシリコンの塊になって失敗します。原型本体には離型剤がかかりすぎないよう、筆で均一に伸ばしてください。
STEP 5:2型目(後半)の流し込みと脱型
離型剤を塗ったら、再び型枠をセットし、2型目のシリコンを流し込みます。1型目の凹ダボにシリコンがしっかり流れ込むのを確認してください。
完全に硬化したら型枠を外し、合わせ目からゆっくりと2つの型を分離します。仕込んでおいたプラ棒や真鍮線を引き抜けば、完璧なダボと空気抜き穴を備えた両面シリコンモールドの完成です。
レジン注型時のコツと失敗したときの修復方法
完成した自作モールドを使ってレジンなどを流し込む際のコツと、トラブル発生時の対処法を押さえておきましょう。
型を固定する際の注意点
完成した2つのシリコン型を合体させ、ダボ同士がカチッとはまる感触を確認します。
型を固定する際、輪ゴムで強く縛りすぎないことが大切です。シリコンは柔軟な素材なので、ゴムの圧力が強すぎると型全体が歪み、作品が変形したり隙間からレジンが漏れたりします。アクリル板や木板で型の両側を挟み、適度な力で固定するのが最も安全です。
注入と空気抜きの確認
注入口からスポイトやシリンジを使ってゆっくりとレジン液を注入していきます。
型内部にレジンが満たされていくと、空気抜き穴の先端からぷくっと気泡と一緒に空気が押し出されてきます。やがて空気抜き穴の先端からレジンが少し溢れ出てきたら、型の中に液体が隙間なく満たされた証拠です。ここで注入をストップします。
もし気泡が入って失敗してしまったら
完成した作品に気泡による欠けがあった場合、空気抜き穴の位置が不適切だったか、穴が細すぎて塞がっていた可能性があります。
その場合は、型を捨てずに修復することができます。気泡ができた位置に向かって、デザインナイフや精密ドリルを使って型の内側から外側へ追加の空気抜き穴を斜めに開けてみてください。
自作モールドは、後から穴を追加してチューニングできる点も大きなメリットです。一度の失敗で諦めず、空気の抜け道を調整してみましょう。
まとめ
今回は、シリコンモールド自作における立体両面型のダボ作りと、空気抜き穴の設計ノウハウについて詳しく解説しました。
両面型シリコンモールドの制作は、一見すると難易度が高く思えるかもしれません。しかし、「合わせ目を完璧に固定するダボ」と「内部のエアをスムーズに逃がす空気抜き穴」という2つの役割と構造を理解して正しく仕込むことで、初心者の方でも完成度の高いオリジナルモールドを作ることができます。
市販品にはない自分だけの立体パーツやオリジナル作品を生み出せるシリコンモールド自作は、ハンドメイドの表現力と創作の幅を無限に広げてくれます。ぜひ今回の設計ノウハウを参考に、オリジナルの両面型作りにチャレンジしてみてください。
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ではでは、また次の記事でお会いしましょう!クラフターズのやっしーでした!

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